恐ろしく狭い家に住んでいた私は、
毎朝の日課は折りたたみベットを収納する事でした。
ベットは壁に縦に収納されるようになっていて(無駄にセミダブル)
ベットを広げるとドアも開かないくらい
とにかくせんっまい部屋に住んでいました。
数日前から黒い円柱のような小さな物が部屋に落ちていて、
ネズミのフンなんて見た事なかった私は、何これ!
何かの香辛料落としたかな〜?と匂いをかいで危うく口に運びそうになった程。
そのフンは捨てても捨てても毎日しっかり置いてあって、
それでもネズミという存在を知らない私は、
まさかネズミと共存しているとは思いもせず、
毎日呑気に過ごしていました。
ある日、いつものようにベットを折りたたむと
私は何かに足を踏まれました。
(素足を!!)
実家の犬に踏まれるような、だけどもっと軽くて小さくて。
それが私とネズミが初めて出会った日でした。
悲鳴を上げてその場でバッタバッタ飛び回り、パニック!
どうしたらいい!どこ行った!
どこから入ってきたの、どこから追い出せばいいの?
汚いの?汚くないの?
とりあえずどうにかして追い出したかったので、
部屋にある四角いものを集めて(本とか、洗剤とか)
隠れているところから玄関まで塀と道を作って、
ホウキで、出てこい!ここの道通って出ていけ!とツンツンしたら、
道はすごい勢いで壊されてネズミは脱走しました。
その日から私とネズミの戦いは始まりました。
だけど姿を見せることはなく、何か荒らすわけでもなく、
ただただフンだけがいつも落ちていました。
数週間後、日本から友人が遊びに来ました。
高校時代のスーパーでバイトをしていた時の友人でとっても仲が良かったので、
ネズミが出る話もしていました。
ネズミとり、という物がどんな物か知らなかった私は、
友人に日本で買ってくるようにお願いをしました。
友人はちゃんと買ってきてくれましたが
まさかただの粘着剤がついたボードだとは!
こんな古典的な物だとは!
早速収納ケースのしたに設置すると、
翌日には捕獲されていました。
でも、あれってなんとかならないんですかね。
もうなんか捕獲された姿が可哀想すぎて、助けたい!!
と思ってしまう。
ごめんね、と本当に申し訳なくなってしまう。
私たちは上手に共存できていたかもしれないのに。
そんな話を電子辞書の時に助けてくれた在仏3年のお友達に話すと
私の友達は愛着湧いて、飼っているよ〜と言っていた。
.......それはない。
いくらハムスターに似ていても、
それはできない。
ストラスブールという街の小さなパン屋さんで研修をさせてもらった時も
毎日、毎日ネズミが駆け回っていました。
若い子たちが麺棒を振り回して追いかけていて、
その綿棒で伸ばしたデニッシュを、食べる?
と悪気もなく聞いてくるから怖い。
(毎日、今日お腹いっぱいなんだよねとか
日本人らしく必死にやんわり断っていた)
こうやって私はいろんな免疫と教養を少しずつ身につけていきました。
続く